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パパの赤ちゃん日記(2)

【初仕事】


長女の名前は菜々子に決まった。命名…浦福菜々子。
「ななちゃん」「なな」「な〜ちゃん」
う〜ん、まだ実感がわかないが、かわいい響きだ。


修次は建設が進む県民文化ホール(現アルカスSASEBO)と駅の高架を横目に見ながら、菜々子が大きくなったとき佐世保って、どんな街になっているんだろう? と思いを巡らせ市役所へ向かって車を走らせていた。


妻と菜々子の退院まであと4日。玲子も元気で、病院の食事が美味しいと気に入っている。二人の退院までに済ませておかなければならない父としての初仕事がある。

それは出産届だ。

え〜と10盤窓口、戸籍年金課戸籍係。あった、あった。病院からの出産証明書を提出、規定の書類に記入する。第三子目からお祝い金が出るそうだが、今回は市からアルバムが贈呈された。


「あ、どうもありがとうございます」
「朝刊のお誕生欄に掲載をご希望でしたら、こちらに記入していただければ、掲載されますが」と職員の案内をうけ、住所・氏名を記入した。
「それとこちらが児童手当と乳幼児医療費助成の手続き案内です。お時間があれば、今日のうちに子育て家庭課で済ませてください」
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よし、これが玲子が言っていた児童手当の手続きだな。子どもができると、3歳未満まで毎月五千円の手当が支給される仕組みだ(掲載時・平成11年の制度)。

サラリーマンにとっては五千円でも実にありがたい助成金。なにがあっても申請を怠るわけにはいかない。


修次は喫煙コーナーで一服済ませ、2階の保健福祉部へ向かった。それにしても市役所っていろんな課があるものだ。子育て家庭課なんて部署は、親になるまでその存在すらしらなかった。


「あの育児手当の申請をしたいんですが」
「はい、こちらにどうぞ」


子どもが通院や入院した際、医療費の助成がうけられる、乳児児童医療助成の手続きも一緒に済ませた。ふだんは銀行の入金作業すら面倒に感じる修次だが、今日は不思議な充実感を覚えていた。


自然とわき上がるこの使命感こそ、親心の芽生えなのかもしれない。 
(つづく)

※99・11・5掲載