フィトンチッドいっぱいの森林浴、
菊池渓谷と温泉で体と心をリラックス

 菊池は水が豊かなところだ。だから温泉もあちこちに。菊池渓谷は秋が一番だろうが、緑が鮮やかな今もいい。渓谷に沿って続く散策道はちょっとした山歩き気分で、鳥の声と川音が心地よかった。
渓谷の入り口に石積みのダムがあって、流れ落ちる水の模様が綺麗だ。美化管理費100円を払って、渓谷沿いを散歩。「れいめいの滝」「紅葉ヶ瀬」「四十三万滝」などが渓谷美を見せる。フィトンチッドを浴びて爽やか気分になること間違いない。

フィトンチッドいっぱいの森林浴、

菊池渓谷と温泉で体と心をリラックス


 スイカの産地として名高い植木でインターを下りる。西南の役で知られる「田原坂」も近くだが、左に折れて山の方へと向かう。県道53号線を東に、菊池市の中心へとアクセルを踏んだ。中心街が温泉観光地だったのに、ちょっと驚く。大きな旅館ばかりだ。『きくち観光物産館』の前には、無料の足湯があった。ほんわり硫黄の香りだ。
 観光物産会館の裏に、驚くほど大きな『菊池武光公騎馬像』がある。懐良親王を迎えて、南朝方として室町幕府と戦った武将だ。一時は九州を平定する活躍をして、菊池地方に独自も文化を花咲かせた。
 背後の山には、菊地一族を氏神とした菊池神社が堂々と鎮座している
。  ここでは温泉に入るのを止めて、目的の菊池渓谷に向かう。国道387号線をひた走ると、途中に『水の駅』がある。そこから県道45号線となって、くねくねとのぼり坂が続く。車を降りたとたん、クーラーより涼しい緑の風が谷から吹いてきた。
 ハイヒールではちょっと歩けない。山歩き気分で渓谷沿いの散策道をたどる。ところどころに小さな滝の見所スポットがあって、河原に下りて楽しむことが出来る。自然林の大木が川に倒れ込んでいるなど、まさに深山幽谷。
 夏休みに遊びに来ると、小さな子どもが喜ぶだろう。あちこちに冒険が楽しめそうな渓谷だ。もちろん危険警告も忘れずに。
 行き道に案内板を見かけていた「永山橋」に行ってみた。熊本県の文化財に指定されていて、皇居の二重橋を架けた名石工、橋本甚五郎が築いたものという見事な石橋だ。橋のたもとまで降りてみると、その欄干の立派さと昔の技術の確かさに感心しきり。
 戻り道に見つけたのが、菊池渓谷温泉の「岩蔵」という新しい温泉旅館。立ち寄り湯は500円。川沿いにあって、源泉掛け流しという贅沢気分だ。
 菊池の中心部に戻ってきたのだが、まだ記事にする情報量がたらないので、道の駅「泗水」に言ってみると、その横に「孔子公園」があった。
 そしてもう一つ、前にも行ったことがあった『歴史公園・鞠智城』へと行ってみた。ここは奈良時代、朝鮮の白村江の戦いで破れた大和朝廷が、守りのために築いた山城跡だ。発掘では何本もの柱がサークル状に並んだ跡が発見されている。かなり高い塔だったと思われる。それを想起させる六角形の楼閣が再現されている。広々とした丘の広場に建つと、悠久の風がさやさやと吹いてきた。


菊池城の本丸跡にある菊地神社。菊池一族を称え、明治天皇の命によって創建された。
南北朝の戦いで、懐良親王とともに戦った菊池武光(たけみつ)公の像。
菊池渓谷の入口にある第五ダム。なだらかな石積みで、流れが爽やかな衣のよう。
渓谷に沿って散策道がある。ちょっとした山歩き気分。森林浴を楽しんで。
江戸末期に築かれて、明治時代に移して架け直された永山橋。いまも暮らしに架かる。
菊池渓谷温泉にある「岩蔵」という旅館の立ち寄り湯。露天風呂から川の流れが見える。
道の駅「泗水」の横に、孔子公園があった。
歴史公園鞠智城。奈良時代、辺鄙なところにこれほど立派な六角の楼閣があったのか。


掲載日:2007年08月08日