阿蘇高森から高千穂の日之影まで
雄大な自然と神話の里をドライブ

 阿蘇の自然と神話の高千穂をひとくくりに楽しもうと、遠いなあと思いながら出かけることにした。長崎、佐賀、福岡、熊本、宮崎と五県にまたがるロング運転だ。疲れたなあ〜。
さすがに阿蘇は雄大だ。高森から国道265号線を一の宮の方に向う途中にある月廻り温泉公園からは、阿蘇根子岳が目の前に広がる。子ども連れで楽しめるところで、公園の傍には「月廻り温泉」があって、露天風呂から阿蘇が眺められる。

阿蘇高森から高千穂の日之影まで
雄大な自然と神話の里をドライブ

 熊本ICの次の益城熊本空港ICで高速道を降り、俵山バイパスを通って阿蘇に。外輪山に包まれたカルデラの中に入ると、その雄大な自然に目を奪われた。朝早く出たつもりだったけど、高森の町に入ったときはもうお昼に近い。
 藁葺き農家を移築した「高森田楽の里」で、囲炉裏を囲んで焼く山女とコンニャク。味噌をこってり塗っていただく。うまい。
 高森線はここまでだけど、計画では阿蘇の山を突き抜ける予定だったそうで、破水によって中止された永いトンネルの奥から、いまも阿蘇の湧水がコンコンと湧き出ている。
 先を急ごう。高千穂まで行こうと思ったのは、二年前の台風14号で、鉄橋が落ち線路が流され、高千穂線は廃線になっているのに、無人の駅の一つ、「影待」にまだ駅ノートが置いてあるから。通りがかりの旅人が勝手に記載する、ただの大学ノート。ずっと前に新聞の日曜版の特集記事で存在を知っていたのだけど、列車が通らない後も置いてあると知って、その影待駅に行って見たくなった。
 峠を越えて宮崎県へ。国道325号線の途中に「千本桜公園」というのがある。三月末には全山がピンクに染まると思えるほど、枝が薄い赤色に染まっていた。
 高千穂は小さな町だ。高千穂神社にお参り。柱状節理が侵食された高千穂峡。舟遊びを楽しむ時間もなく、写真を撮るだけ。天岩戸神社も思っていたより小さい。神話が本当とは思ってないけど、天岩戸も谷向こうの崖で見えず、なんだかすべて期待はずれ。
 影待駅を目指す。地図では五ヶ瀬川沿いにあるはずだが、なかなか辿り着けない。コンクリートのアーチ橋では日本一長い「天翔大橋」を渡って、対岸の道を走ると行き止まりだった。何度も迷ってようやく辿り着いたときは、谷まで陽が射さない時間。それでもぽっかりと梅の花が咲いていて、脇の坂道を登って朽ちた鉄階段を上がると、目的の「影待駅」があった。トンネルに挟まれた駅だ。もちろん誰もいない。周りに人家もないのに、なぜここに駅が作られたのか不思議。ノートは置かれていたけど、もう一ヶ月ほど書き込みはない。まさに山の無人駅。いや、列車が来ないのだから、もう駅と呼ぶべきではないのかも知れないな。静寂な時間だけがゆったりあった。
 隣の日之影温泉駅は、名の通り駅舎の二階が温泉になっている。列車も通ってないのに結構賑わっていた。お湯につかって旅の疲れを……。だけど、それからの帰りが長いこと。いままでで一番遠い日帰りドライブだった。


高森湧水トンネルは白川の源流。中断されたトンネルから、阿蘇の伏流水がすごい水量で湧き出ている。
藁葺き農家を移築した囲炉裏端で食べる高森「田楽の里」。まさに旅の味だ。田楽定食1,680円。
高千穂神社の境内には杉の大木が何本も聳え、森閑としている。
高千穂渓谷ではボートに乗ることが出来るけど、かなり散策路を歩くので、岩の上から写真だけパチリ。
天岩戸伝説の地。神社に申し込めば川向こうの崖にある岩戸を望めるが。
五ヶ瀬川に架かる天翔大橋。長さ260m、高さ143mはコンクリートアーチ橋では日本一。
高千穂線が台風で破壊され、列車も旅人も来ない影待駅だ。駅ノートも寂しげ。
日之影温泉の駅舎の二階には温泉があって、地元の人の憩いの場所だ。


掲載日:2007年03月21日