たくさんの画家を生んだ久留米。
芸術の秋も深まって、歴史の重みを感じた。

久留米って、福岡なの佐賀なのか熊本なのか。まあ、現実は福岡県なのだけど、それらが全部交わって独自文化と歴史を持つ街だ。
耳納連山に上る緩やかな傾斜の道に、約200本、1キロにわたってハゼ並木が続いている。柳坂曽根のハゼ並木は、寛保2年に灯明用のろうを作る原料として植樹された。赤い葉は色あせていたけど、ハゼの実がブドウのように下がっていた。

たくさんの画家を生んだ久留米。

芸術の秋も深まって、歴史の重みを感じた。


 芸術の秋の最後に、石橋美術館に行かなくちゃ。ちょうど国立美術館展があっていたけど、ここの石橋コレクションだけでもすごいものだ。近代美術の名画をたくさん集めているが、特徴的なのは、この久留米が生んだ坂本繁二郎、青木繁、古賀春江らの名作をコレクションしていることだ。石橋文化センターは街の中心部にあるのに、綺麗に手入れされた花壇や静かな庭があって、さまに街の中のオアシスである。
 久留米は有馬藩の城下町。城跡は石垣だけが残る。その境内にある有馬記念館には、鎧や雛人形など有馬氏の遺品が展示されている。入場料は100円。  お昼はやっぱり「久留米とんこつラーメン」かな。なんだか普通だったよ。佐世保のラーメンも結構うまいってことだね。
 盛りは過ぎたかなと思いながらハンドルを東に切る。今回のドライブのもう一つの目的は、柳坂曽根のハゼ並木を見ること。約200本、1キロの並木がある。晩秋の陽に赤く染った並木は綺麗だったけど、やっぱり少し時期が過ぎていた。
 田主丸に続くこの辺りは、植木の産地だ。耳納連山に続く緩やかな丘陵のあちこちに植木屋や盆栽屋がある。植栽好きの人には堪らないだろう。山を背景に柿の林が広がって、鮮やかな色合いだ。
 さらに東に行く。草野という地区だ。中世の豪族草野氏の城下町で、実に落ち着きのあるところ。蔵づくりの民家や西洋風の建物がある。特に「矢作」には立派な門構えの家が並んで、なんだかタイムスリップしたような気分。草野の歴史を知りたい人は、ます「草野歴史資料館」に立ち寄り、それから病院跡を改装した「山辺道文化館」で自転車を借りてサイクリングすることをお勧め。車では感じられない自然と町の息吹が感じられていいよ。
 もう少し進むと耳納連山の山裾を走る、「山苞(やまづと)の道」が始まる。散歩するのにいい静かな道だ。小さなギャラリーや喫茶店などがあってね。だけどそれはまた次の機会にしましょ。
 日が暮れる前に高良山に登ろうとハンドルを西に戻した。その前に「地場産くるめ」に寄った。やはりなんと言っても久留米がすり。でも昔のように手作りというわけにはいかないようだ。ここでは筑後地方の特産物が展示即売。久留米がすりのお勉強も出来るよ。
 高良大社は五世紀ごろの創建といわれる筑後一宮。赤い社が勇壮だ。
 坂道の途中に、「神籠石」が並んでいる。神域を現す石積みとも、昔の城跡の名残ともいう。高良山を下りるころには、芸術の秋は柿色に暮れていた。


久留米城跡は石垣が残るだけ。境内に篠山神社があって、有馬記念館が。
石橋美術館のコレクションはいいな。こんな絵がいつも見られるなんて。
植木屋がたくさん集まって、植木市を開催していた。庭木や盆栽がいっぱいだ。
矢作の家並みは保存しなくてはいけない。古くなって前より少なくなっていた。
草野歴史資料館。平安時代から桃山時代までこの地に勢力を持った草野氏の歴史が学べる。入場料100円。
400年ごろの創建とされる高良大社。ここからは久留米の街が一望できる。
古い石積みがぐるりと山を囲んでいる。神域を現すのか、それとも別の意味が……。
「地場産くるめ」では久留米がすりのことが分かる。


掲載日:2006年12月25日