地底探検気分を味わう平尾台の鍾乳洞
上野(あがの)焼の里にも

あまり行ったことがない所に行こうと、平尾台に向かった。
台地いっぱいにカルストの石灰石が点在している。どこか知らない、遠くへ来た気分だ。
草原で草をはむ羊の群れのように遠くからは見れるカルスト台地の風景。広々とした雄大さが心を大きくしてくれるようだ。この台地の下には何万年もの間に染み込んだ水によって、いくつもの鍾乳洞が巡っている。

地底探検気分を味わう平尾台の鍾乳洞
上野(あがの)焼の里にも

 カルスト台地として平尾台が凄い規模だというのは聞いていたけど、行ったことがなかった。梅雨に入る前に遠いけど思い切って行くことにした。それだけでは記事にならないから、周辺に立ち寄るところがないか地図で探すと、小倉南インターを降りたすぐに、『合馬竹林公園』とあるのを見つけた。
 どうせ行政がらみの公園だろうと期待せずに車を走らせたのだが、それが思いのほか良かったのだ。
 小倉地区は筍の産地として知られ、中でも「合馬筍」は良質で料亭に納められる。雑木ではなく竹林に覆われた里山が続いている。『合馬竹林公園』の入り口には筍をイメージした円錐形の屋根をした展示室があり、背後に竹の公園があった。  緑深いのモウソウチクの林に散策道が続く。清々しい竹の香りに包まれて、気温も何度か下がっているようで心地よい。風が吹くとサラサラと葉ずれがして、まったく外界とは遮断された不思議な空間だった。
「瑞々しい気分だなあ」と思わず呟く。
 キッコウチクやキンメイモウソウチクなど150種の竹が見られる。竹取物語ではないが、竹取の翁になった気分かな。
 竹細工教室も開かれていて、作り方など教えてくれる。創造性豊かな竹細工を販売していて楽しい。
 道を戻って南下して平尾台に向かう。細い道をぐるぐる上って台地に。驚いた。カルスト台地としては山口県の秋吉台が有名だが、スケールでは全然負けていない。緑の丘陵に転々と白い岩が続いている。台地の下には鍾乳洞があるはずだ。
 鍾乳洞はいくつかあるようだが、一番大きなのは天然記念物に指定されている『千仏鍾乳洞』。長い坂と階段を下りて入口まで。そこで靴を脱いでゴムのスリッパを履くことになるが、それは970mほどある洞窟の、半分は水の中を歩くためだ。 「つめたいよぉ」と悲鳴を上げる。
 水の冷たさで足が痺れるほど。だけど冒険気分がまた面白い。子ども連れなら楽しいだろうなあ。
 少し離れていたが、『上野(あがの)焼』の里を訪ねた。鷹取山を背後に二十数件の窯元が点在している。  朝鮮陶工・尊楷をルーツとする上野焼は、かつては細川藩の御用窯として栄え、また遠州七窯の一つとして人気を集めた茶器だ。いま陶芸館が山裾にあって、作品の展示と即売をしている。
 帰りは一般道を通って鳥栖に向かう。途中、嘉穂郡で見かけた『沖出古墳』。四世紀終わり頃に築かれた綺麗な前方後円墳だ。大和政権との結びつきが考えられる。まあ、行き当たりばったりのドライブにしては楽しかったな。


合馬竹林公園には150種の竹が植えられている。入園無料。
竹林公園展示館では、竹細工の教室があっている。たま手作りの竹工芸が楽しい。
1.2haの敷地に珍しいキッコウチクなどが植えられている。
鍾乳洞で一番大きいのが『千仏鍾乳洞』だ。入洞料800円。
鍾乳洞の中ば以後は水路だから、ゴム草履を借りて行く。少しスリリングで探検気分満喫。
足利尊氏ゆかりの禅寺天目山興国寺。緑の山を背景にひっそりある名刹だ。
朝鮮陶工・尊楷に始まる上野焼。小倉細川藩の庇護のもと主に茶器を造った。
『沖出古墳』は筑前地方で最も古い前方後円墳。船の絵が刻まれた埴輪が出土している。


掲載日:2006年06月23日