メイン

2012年09月22日

「煙野映画第一弾本日公開!」

お待たせしました。IMGP5563.JPG


煙野映画第一弾『暴中ハンター☆優』本編(5分39秒)本日公開です!


ぜひご覧ください!


YouTubeは→こちらです!

2012年09月21日

「初瀬 優さんからのコメント」

437.JPG


暴中ハンター優を演じてくれた初瀬優さんからYouTube公開前夜のコメントをいただきました。


「初めての演技で、今までにない感情を引き出したり、最初はとまどっていたんですが、途中からものすごく楽しくなりました」


「予告編を観た方からメールなどもいただき『あれは一体何?』『かっこいいですね』『えっ、白黒なんだ』『初瀬さん!? どういうことで、こんなことに?』『本編が楽しみで~す』など反応もさまざまのようです」


「みんなでアイディアや工夫を持ち寄って、限られた機材と道具で撮影する手作りの臨場感など、改めてモノを創る楽しさも体験できて本当に楽しかったです。今までやってきたCMやモデルのお仕事とはまたちょっと違った自分の一面を引き出してくださった、けむりの まきたろう監督や石井マキさんに感謝しています」


「もしハンター優の続きがあれば、ぜったい出たいですね。撮影で使った赤い刀(赤音丸)を監督からいただき大事に保管していますから(笑)」」


「実はまだ最終編集版は私も観ていないんですが、レトロなタイトル文字とか町並みとか背景とかインパクトありましたよ。きっともおもしろい映像になっているんだろうなぁ。私も明日が楽しみ。みなさんぜひ観てくださいね!」

                         初瀬 優

※初瀬さんは大学院まで進み臨床心理士を目指していましたが、人々の心を癒やしたり元気にさせるタレントもどこかソーシャルワーカーに似ていて、論文発表より、さらに実践的な仕事では? と一大決心。2011年ミス日本に応募。九州代表に選ばれ全国大会出場を果たしたのを皮切りに、大学を辞め地方を拠点にタレントとして活動開始。独創的な仕事観、人生観で、新しいソーシャルワーカーの形を夢見て頑張っている女性です。ぜひ応援してあげてください!

                       けむりの まきたろう

「煙野映画 第一弾! 明日公開!」

%20116%2025.jpg

初めて作った「煙野映画」ショートムービー第1弾『暴中ハンター☆優』を、いよいよ明日9月22日(土)にYouTubeで公開します。


ミュージックビデオ風の音楽&映像でストーリーが展開していく約5分半の活劇です。


暴走中年とは、決して悪党ではなく、社会の常識から半歩だけ踏み出してしまい、いまだにちょっと青春を引きずっているようなどこにでもいる中年男のことです。


今回登場する暴走中年は、いい年をして自主映画を撮ろうと、少年みたいに半歩踏み出してしまった監督自らをモデルに設定しました。


半歩踏み出す「心のゆとり」もままならない空気が漂う現実社会で、常識やしがらみに縛られて生きている働き盛りの中年層の皆さんに捧げる作品です。


アルバイトハンターに追われても討伐されても、社会や組織に屈しない、暴走中年であり続けましょう!

※HD版と通常版をアップしますので、再生環境に合わせてご鑑賞ください。

                      監督 けむりの まきたろう

2012年09月13日

「暴中ハンター☆優の解説&あらすじ」

intro.jpg
【イントロダクション】


短編インディペンデンス・ムービー「煙野映画」が送る第一回作品が遂に完成しました。刑事ドラマ『太陽にほえろ』オープニングシーンの刑事の疾走シーンとブルース・スプリングスティーンの名曲『明日なき暴走』にインスパイアされて、同映画主宰者である、けむりの まきたろうが監督を務めたオリジナル作品です。


暴中とは「暴走中年」の略。働き盛りの中年男でありながら、どこか社会に反発し、ちょっとだけ青春を引きずっている憎めない世のオヤジたちにオマージュを送るSF仕立て活劇です。


暴中ハンターを演じるのは2011年ミス日本全国大会に九州代表として出場した初瀬優さん。ふだんはソフトな表情の優さんの凜々しい目力や、モンハンを参考にしたという太刀さばきも注目です。


夜とまたひと味違うネオン街「サケタウン」を舞台に展開するハンター優と暴走中年の追撃シーンなどこの街のロケーションも見所のひとつです。

 
【ストーリー】
 intro2.jpg
日出ずる国では、社会の一般常識から半歩踏み出して生きる暴走中年が急増していた。しかし、国や警察は、暴中たちのささいな言動にまったく危険を感じていなかった。そんな中、謎の組織yYyは社会の常識を守るために秘密裏に暴中駆除を行っていた。


祖父から受け継いだ剣術と生まれながらにサイコキネス・パワーを持つ女の子優は、ある日「アルバイト募集!あなたも暴中ハンターとして活躍してみませんか!時給35,000円〜」の張り紙の「〜」に魅せられて、yYyで働くことを決めた。今日もボスから出動指令を受け、祖父の形見、名刀「赤音丸」を背負い、街に繰り出す優。サケタウンでまた一人新たな中年男が暴走していた…。


2012年9月22日(秋分の日)YouTubeにて公開(上映時間 5分34秒)。

2012年09月07日

「暴中ハンター優☆製作日誌4」

煙野組のムードメーカーが石井マキさんは「劇団 楽園天国」の旗揚げ期からのベテラン団員さん。つかこうへい作品が大好きで、若き日は『幕末純情伝』で主役も演じていたパワフル&魅力的な役者さんでした。


オリジナル台本や演出も彼女が多数手がけ精力的に公演していましたが、結婚を機に、しばらく芝居から遠のいていました。そんな彼女が二児の母として子育てに大奮闘しながら、この秋に公演する『みなとまちさんせっと』の台本に久しぶりに携わり、現在本番に向けて稽古を行っています。


出産、育児、家事という女性の大事業と日々向かい合いながらも、表現やモノを作るのが根っから好きなんでしようね。芝居ができない間も家庭をネタに四コマ漫画のブログを立ち上げて作品を発表。Iphonで動画を作ったり一人でできる創作をコツコツ続けていたようです。


そんな彼女のブログ名は『旦那萌えっ!!〜奥様は主腐〜』。2年半の片思いを経てゲットした旦那様に、萌え萌えの日々&子育て日記的なちょっと変わったユニーク漫画です。こちらが→旦那萌えっ!!

rakute2.JPG
今回の撮影でもいろんなアイディアを出してくれ、ロケハンにも同行してくれました。日々の台本づくりと『ジョジョの奇妙な冒険』で培ったカット割りセンスがあるから、私の下手な絵コンテもすぐに理解してくれたのだと思います。本当にマキさんありがとうございました。


映画の中では、ハンター優をアルバイトで雇っている謎の組織「YYY」のボスの声も担当してくれています。お楽しみに!


写真は優ちゃんとツーショットのマキさん!


       けむりの まきたろう

2012年09月06日

「暴中ハンター優☆製作日誌3」


みなさん予告編、もう見て頂きましたか。


実は主演の初瀬優ちゃんは、今回のハンター役のために、自ら太刀さばきの練習まで行って撮影に挑んでくれました。


ハンター優の修行の様子は彼女のブログに載っています。こちらです→


やると決めたらとことんやるまっすぐな「優スピリット」こそこの映画の原動力といえます。


そう、優ちゃんは「モンハン」大好き女の子だったのです。


こりゃ、斬られるわ。


予告編まだの方はぜひ一度ご覧ください→予告編


                   
                          けむりの まきたろう

2012年09月03日

「暴中ハンター優☆製作日誌2」

自主映画レーベル「煙野映画」第一回作品の製作を支えてくれたのは通称「煙野組」の皆さんです。「劇団 楽園天国」で台本や演出を手がけてきた石井マキさんがimoveで面白い動画を撮っていたことで意気投合して、今回の撮影が実現しました。bouch.JPG


続いて役者の初瀬優さん。福岡でCMや雑誌、イベント出演などのタレントの仕事をしていましたが、現在故郷に戻ってきて充電中というグッドタイミングでこの短編映画づくりに協力してくれました。彼女のルックスやこれまでの経験をいかした作品にしようと、PV風の映像で物語を綴っていく脚本を考えました。


bouch2.JPG
そしてもう一人は、航海ができる実寸サイズの宇宙戦艦ヤマトを造船所で作るのが夢! と公言してきた、まさにこの街を代表する暴走中年の一人「ワイワイ貿易」の緒方オーナー。暴走追跡シーンの撮影では石井マキさんを台車に乗せて走ってダッシュしてくれました。


以上3名と私4人が今回の「煙野組」メンバーです。「ipadだけで映画を撮る!」と言ったとき、やや「?」顔の3人でしたが、すっかり映像づくりの面白さにはまってくれました。感謝です。


さて、そういう遊び心と好奇心旺盛なパワーのおかげで、編集もいよいよ大詰め。完成間近となりましたので、一昨日YouTubeに予告編をアップしました。ぜひ1度ご覧ください。「暴中ハンター☆優」と変換するのはやや面倒な場合、「初瀬優」「煙野映画」で検索しても観ることができます。それでは、また。

                         けむりの まきたろう

2012年08月23日

「暴中ハンター優☆製作日誌」

kemu1.JPG煙野映画第一回作品のタイトルを変更することにしました。この日誌も本日より『暴中ハンター優☆製作日誌』に変更します。


ブルース・スプリングスティーンへのオマージュで『明日なき暴走』を使いたかったのですが、サブタイトルとつなげると、どうも長くて覚えにくそうなので、コンパクトに『暴中ハンター☆優』をメインタイトルにすることにしました。「暴中」とは昨日書いたように「暴走中年」の略です。


現在iPadとiPhoneアプリを5,6種類使って撮影、編集中。メインカメラの8ミリHDを煙野映画の一つの特徴にできたらいいなと思いながら制作しています。舞台となるサケタウン(下京町、上京町、山県町、塩浜町)で、もう一回追加撮影を行い編集の仕上げに入ろうと思います。

kemu2.JPG
今月末にYouTubeにまず予告編を上げて、9月上旬の本公開を目指したいと考えています。


ちなみに主人公「優」のこの太刀ポーズは映画の中ですごい決め技ポーズです。では次回はハンター役で頑張ってる初瀬優さんをはじめどんなスタッフで制作しているのか舞台裏を紹介します。お楽しみに!


                     監督 けむりの まきたろう


2012年08月22日

「明日なき暴走☆撮影日誌」

mov3.JPG
今日からしばらく「煙野映画」第一回作品『明日なき暴走〜暴中ハンター優』の撮影日誌を書きます。撮影風景も更新していきますのでお楽しみに!


【イントロダクション】
メインタイトルは私が17歳の時によく聴いていたブルース・スプリングスティーンの曲名です。わが青春のシンボルとして敬意をを払い題名に使わせていただくことにしました


そして33年の月日が経過。お腹の脂肪は取れず、階段の上り下りもきつい日々。老眼鏡も手放せない年代に突入してしまいました。同時に手放せなくなったのがiPadです。楽しいアプリがいっぱいで、若いときに叶わなかった夢の一つ自主映画を撮りたいと思うようになりました。


【優ちゃんも?暴走中年とは…?】
いい年こいて映画づくり? という無駄っぽい中年エネルギーを作品のテーマに選びました。映画づくりに夢中になる私自身がまさに暴走中年そのもの。みなさんの身の回りにもいませんか? 例えば青春時代に買うことができなかったモズライトを揃えてベンチャーズを演奏しているオヤジバンドとか。mov2.JPGスナックで若い女の子にオヤジギャグをかませ悦にひたっているおじさんたちとか。家の中で存在感が薄いお父さんも、何か一つくらい自分の居場所を持っているものです。


しかし、その大事な居場所にのめり込み過ぎたとき、ときおり周囲に迷惑をかけたり、疎ましく思われたりすることがあったりします。ツイッターでも呟きましたが主演の初瀬優ちゃんから「暴走中年って一体何ですか?」と質問を受けました。「オヤジギャグを連発しながら、その場の空気が読めないハリキリオヤジだ」と答えたら「なんとなく分かりました」と理解してくれました。


ハリキリ過ぎて、ちょっとかわいいけどうざい中年おやじにオマージュも捧げつつも、フライングやスベッてしまいがちな暴走中年に「ちょっと待った!」とちゃんとジャッジしなきゃ、と若いハンターに征伐してもらうお話を作った次第です。


【舞台はサケ・タウン】
舞台はサケ・タウン。馬鹿みたいに走り回る一人のオヤジを、暴走中年の象徴として描いております。それを追うハンター「優」の活躍にご期待ください!

                       
                    監督 けむりの まきたろう

2012年08月19日

「サケ・タウンがかっこいい!」

機材を持っていない貧乏自主映像組「煙野映画」の第一回作品は、ipadとiphonアプリのみでどんな映像がつくれるかにも挑戦しています。撮影は一昨日無事終了。猛暑の中「くっけん広場」のスタッフの皆さんのご協力をいただきながら、予定していた映像を撮ることができました。どうもありがとうございました。


ロケの場所はアーケード界隈。主人公のハンター優が出動する基地を急きょ「くっけん広場」に設定し、上京町、下京町の路地をはじめ、この街の夜の歴史をつくってきた山県町のネオンストリートを中心にipadのみで撮影を敢行しました。昼間の歓楽街も絵になる場所がいっぱい。中でも優が暴走中年オヤジを退治すクライマックスシーンに選んだ塩浜町の路地は、ものすごくかっこいい空間でした。


セットでは決してつくれない、時間の蓄積を感じさせる町並みと看板群…酒を傾けいろんな人生が交差してきた飲み屋街という夜の文化があってこその風情や佇まいだなぁと、改めて実感。アメリカ海兵隊員がこのエリアを「サケ・タウン」、湊町界隈を「セール・タウン」と呼びわけているのが、なんとなく頷けました。


微力ながら今回の映像を通じて観光地とはまた違った佐世保の魅力が少しでも発信できればいいなと思います。上京町、下京町、山県町、塩浜町にオマージュを捧げ感謝! ありがとうございました。


今後もこの街のかっこいい町並みを背景に個性的かつちょっと煙たいショートムービーを創造していきたいと思っております。どうか「煙野映画」第一回作品『明日なき暴走〜暴中ハンター優〜』をよろしくお願いいたします(今月末頃YouTubeにて公開予定)。

 
                      監督:けむりの まきたろう


2012年06月14日

「日本沈没」出演船」

おーっ! これは平成版「日本沈没」に出演しておった船でござるな。
chikiyu.JPG
(まきたろうTwitterより )

2012年05月22日

「アーティスト」

ar.jpg子供の頃、親にチャップリンの「独裁者」や「キッド」のリバイバル上映を観に連れて行ってもらった記憶がある。モノクロフイルムの中で声を発せず、人々を笑わせるチャップリンの演技に子供ながら「すごい人がいるんだな…」と感心した。

その後、CGをはじめ、今日の3Dへと映画はどんどん進化した。私たち同様どういう時代を生きた人も、過ぎ去った歴史の中では人類の最先端に暮らしていた訳だ。主人公ジョージもまさしくその一人。しかし、トーキーという新たなイノベーションの波の中、時代に取り残されていく。

ジョージの焦りと葛藤は、現代人にも通じる課題だと思う。PCやスマホを仕事効率化や人生を楽しくする道具としていかに使いこなすか? そんなの関係ねぇ、俺は今まで通りオレ流で行くぜ! 最先端を追わないこともジョージと同じ自由な選択肢だ。

でもどの時代を生きた人々もきっと新しい物好きだったに違いない。映画の中でもトーキーブームでペピーの人気はうなぎ上り、たちまち時の人になってしまう。

果たして「老兵は去るべし」なのか? そうではない。物語に描かれたペピーのジョージへの想いこそこの映画のテーマ。ジョージが見る正夢の素晴らしい音響効果など斬新な手法は、映像・音・物語など複数の芸術要素が合体して誕生した総合芸術としての映画を踏襲し、発展させた3D作品に負けない21世紀の映画だと思った。

まさに温故知新。それを象徴するラストシーンのタップダンスも爽やか。映画の原点ここにあり! ミシェル監督すごい! と楽しい気分で映画館を後にした。

2012年04月03日

「日宇町で黒澤明の夢と逢う」

sidare.jpg先月初旬、日宇町の高台にある棚田に素晴らしい梅畑があると聞き、カメラを持って出かけました。所有者のMさんが20年前から丹誠を込めて育ててきたシダレウメの数は400本。奥さんが植えたという菜の花の黄色いラインがこれまた絶妙なコントラストをかもし出し、のどかな田園は隠れお花見スポットとして多くの人が訪れ、山間を彩る春景色を堪能していました。

そこで出会ったのが大分県から足を運んだというダンディなおじさまH氏。朝8時過ぎから畑に三脚を立てて何時間も粘ってシャッターを切っていた写真愛好家のH氏は、かつて東宝撮影所の美術スタッフとして勤務してたいた人物でした。

なんと「用心棒」や「天国と地獄」など黒澤組の仕事にも多数携わていて、日本映画の生き字引とも言えるリアルな話を聞くことができました。
 
僕がこの棚田を上りながら、偶然にも黒澤監督の「夢」に登場する「桃畑」のロケーションを思い起こしていた、と切り出すと少年のように瞳を輝かせ「あれは甲府で撮ったんですよ。ちょうどこんな棚田に木々と役者を立たせてね。大変でした」「同じ『夢』で、狐の嫁入りのシーンでパッとこっちを振り向くカットもすごいでしょう」「黒澤さんの絵コンテはほんと素晴らしかった」などなど懐かしそうに映画づくりの楽しさを語ってくれました。

ちなみにH氏がこの日写真撮影に費やした時間は約8時間。「黒澤組に比べるとまだ短いのでは?」と問うと「そうですね。撮影3日間くらい待たさられるのは普通でしたもんね」と爽やかな笑みで浮かべました。sidare2.jpg

美しいシダレウメの中で蘇った黒澤明監督の映画道。美しい梅畑を舞台に映画「夢」の一話「こんな夢をみた」みたいなひとときでした。
 
それにしても黒澤監督が同作で描いた「赤富士」という物語はすごい。今起きている原発問題を見事に予知した鋭い作品と言えます。政治家と電力会社の偉い方はぜひ一度ご覧下さい。

2011年04月12日

「今村昌平のDNAが4年制に!」


30年前、今村昌平監督が学院長を務めていた横浜放送映画学院で「映画づくりは米づくりだ!」のスローガンを掲げ実施されていた研修があった。福島県の農村に赴き生徒は各生産者の家庭に住み込んで農作業のお手伝いをするというプログラムだ。


今振り返るとちょっとかじった程度の農家体験だったが、世間を知らない18歳の若僧にも、ものづくりには苦労と、喜びが同居していることを察することができた貴重な体験だった。今村監督の講義は1、2度しか受けていないが、「とにかくもっと本を読みなさい」と何度も口にしていたのを思い出す。


理由は若き日に読んだ深沢七郎の小説『楢山節考』を読んで「やられた」と思ったからと語っていた。小説に負けない映画を撮るために、本を読みなさいという教えだったと記憶している。


憧れの映画の仕事に就くことなくUターンしてしまったが、今村監督のたった一言は何事にも当てはまる人生の助言となった。


横浜東口、スカイビルの一角に日本中から集まった映画青年たち。歳月が流れた今、横浜から日本映画学校へ改組されながら、現場主義の教えを受け継いだ人材が日本映画の制作現場で多数活躍していることは、米づくりに参加した一人としても、とても嬉しいことだ。


そしてこの春、日本映画大学が開校。受験システムと同じく人間のサイズも企画化傾向にある日本の大学制度の中、故今村昌平の人間くさいDNAを受け継ぐ規格外の映画人をどんどん排出して、さらに日本の映画芸術を面白くして欲しいものだ。祝!日本映画大学開校、期待してます。

2010年09月22日

「悪人」

2回観た。震えた。涙出た。4年待った甲斐あり。
劇場には女性客多し。シクシクとすすり泣きが聞こえてきた。 


スカイラインが三瀬峠を越え福岡市街に向かう冒頭から、最近ごぶさたしていた映画的緊張感に引きづり込まれる。解体作業現場に向かうワゴン車のフロントガラスに広がる道筋が、事件現場に向かう警察車輌から見た峠の光景に移り代わったところから、その緊張感はさらに深まりを増す。


轟音を発して廃屋を取り壊す作業現場のシャベル……殺人という非日常的な破壊を象徴するかのよう。のどかな漁村……房枝が台所でグサッと包丁を入れ、さばかれていくまな板の上の魚にも、祐一の携帯動画に保存された下着姿の佳乃にも生々しい「生命」を感じる。


料理をちゃぶ台に運びながら「今日警察のこらしたとよ…」と祐一に語りかける房枝。黙々と口に箸を運ぶ祖母と孫の夕飯。ご飯を噛みながら房江が細々と論じる人の善悪……静かなシーンだが、現実を良識で整理していく人間の情が逆に痛々しく心に突き刺ささり、まるで最後の晩餐のよう。/panfu2JPG.JPG


光代のメール着信から物語が後半に向かって加速し始める。メールでの無機質な出会いと実際に言葉を交わして進展する有機的な性交。ベッドシーンも最近の邦画では珍しく必然性を持ってきちんと描写されている。佐賀駅での別れ際、バックミラーに映る光代の後ろ姿が印象的。


呼子名物イカの造りを目の前に殺人を告白する祐一。イカの目玉に映り込む回想シーンにより事件の真相が明らかになっていく。物語前半に蓄積された「負」を全部受け入れ背負ってくれるような光代の力強い存在感。救世主が現れたように、観る側は、いつのまにか光代の言動に救いと希望を覚え始める。


祐一の少年時代と現在の、行き場のない微かな希望を象徴するかような灯台。「あんたには大切な人はおるね」という佳男の台詞を皮切りに始まるクライマックスの映画的ダイナミズムは圧巻だ。


オープニングからエンディングまで弛むことない映画的緊張感は『張り込み』『砂の器』『青春の殺人者』『復讐するは我にあり』『事件』などで味わった感覚にもどこか似ていて、近年慣らされてきたテレビドラマ映画の空気とは明らかに異なっていた。


いい原作がいい映画になる条件とは一体何だろう?


黒澤明、市川昆、今村昌平、大島渚、野村芳太郎、長谷川和彦、伊丹十三……銀幕に「今」を描き続けた昭和の名匠たちが放っていた映画監督の「作家性」を久しぶり味合わせてくれた素晴らしい日本映画だ。


今の社会では、祐一と光代より増尾や佳乃の方が一般的で分かりやすい若者像かもしれない。経済や文化をメディアを動かしているのも増尾や佳乃が持つ「軽さ」がエネルギーになっていると思う。だからこそせめて映画の世界くらいは「軽さ」ばかり追わず、社会のすそ野で生きる等身大の人間をきちんと描く「重み」も大切にして欲しい。そういう意味でも「李監督に座布団5枚!!」って気分!


2010年09月01日

「素晴らしき美術監督」

bar.JPG
種田陽平という名前をまったく知らず、岩井俊二という名前に牽引されて結果的に種田陽平という名前を知ることになった記念すべき作品が96年に公開された『スワロウテイル』だった。
 
その後『キル・ビル』などで活躍しながら脚光を浴び、今や日本映画界を代表する美術監督の1人となった。そんな種田さんが03年にわがまち佐世保市に滞在。赤レンガの立神音楽堂の入口にエキセントリックな鳥居のセットを組んだり、音楽堂の中にライブバー「ブラックローズ」や、スポーツランド跡地にフェスティバル会場を創り出し、見慣れた現実の中に虚構世界を創造していく映画づくりの面白さを体現させてくれた。

新進気鋭の李相日監督が佐世保ロケでエネルギッシュかつポップな青春像を焼きつけた『69sixty nine』の美術を手がけたのも種田さんだ。氏は佐世保の大ファンで映画公開記念イベント『ブラボーSASEBOフェスティバル』のプロデュースも自ら担当。その時に販売された種田さんデザインのTシャツ(黄色)を私は6年経った今も愛用している。

ロケ地マップの制作にも携わった私は、種田さんをインタビューする機会にも巡り会えた。「佐世保は土着的な村意識が薄く、何でも受け入れるターミナル的な自由な雰囲気を持っている街に感じる」という感想が記憶に残っている。その後、ハウステンボスの『夏の祝祭劇場灯りのまつりファントマティーコ!』の美術監督を務められた時も東洋のランタンとヨーロッパの街が融合したような無国籍な現場で創作の話を聞くことができた。

三谷幸喜作品でも独特の質感を漂わせる見事な美術で作品の世界観を広げてきた種田さん。撮影や照明、音楽と同じく美術という仕事が映画という総合芸術を支えるうえでいかに大切な要素なのかを改めて気づかせてくれた人物だ。ちなみに最近観た作品では根岸吉太經篤弔痢悒凜オンの妻〜桜桃とタンポポ〜』の種田ワールドが圧巻だった。
fes.JPG

この夏、ジブリも種田さんの才能をプッシュしたコラボ企画『借りぐらしのアリエティ×種田陽平展』が東京都現代美術館で開催されるなど、日本映画界の貴重な存在でになっていることが伺える。

そして、いよいよ待望の李監督最新作『悪人』の公開が迫ってきた。『69sixty nine』『フラガール』に続き李作品に種田さんが参加。吉田修一の原作をもとに福岡、佐賀、長崎の3都市を舞台にロケを敢行した話題作。李監督の手腕はもちろん久石譲の音楽、現場のロケーションと空気をいかした種田さんの美術世界に期待がふくらむ。個人的には平戸ロケの延長で佐世保市街でもワンシーンくらい撮って欲しかったものだが、『69』の作品価値を考えれば、本作に佐世保の空気感は不要なのかもしれない。


2009年12月16日

「李相日監督の最新作、期待度大」

2003年、村上龍の故郷ここ佐世保市で暑い真夏のロケを敢行。映画『69sixty nine』で、熱い熱い青春エネルギーをフイルムに焼きつけた李相日(リ・サンイル)監督の最新作が、いよいよ動き出した。

06年に発表した『フラガール』で、キネ旬ベストテン1位や日本アカデミー賞などを受賞し、その手腕を広く知られるようになった李監督。『69』は、『フラガール』の男版といった要素も濃く、世の中が認める傑作を生み出す助走的な作品だったと思う。
akunJPG.JPG
しかし、傑作『フラガール』を生み出したにも関わらず、李監督の新作を観ないまま、いつの間にか3年の月日が過ぎてしまった。

そんな年の瀬に、金明堂書店で長崎市出身の作家・吉田修一の文庫本『悪人』がいきなり目に飛び込んだ。帯に記された「映画化」という見慣れた文句と共に「出演:妻夫木聡 深津絵里 監督:李相日監督」という文字が突き刺さった。

早速、本を購入。物語にぐいぐい引き込まれて一気に読んだ。出会い系サイトでつながっていく心と心の隙間で交錯するさまざまな感情、想い、すれ違い。大量消費や技術革新など時代のスピードに合わせ、どこか画一化されていくような地方都市で空虚感を抱きながら暮らす人々。そんな、どこにでもある日常の影で悲惨な殺人事件が起きてしまう……。

現代人が抱える孤独や切ない想いを細やかに描出しながら、人間の本質とは何かを問う力強い小説だった。テレビドラマやアニメの劇場版全盛時代に、李監督は実にいい小説を題材に選んだな〜と嬉しくなった。「本当の善と悪が分からない今という時代」を、どんな映画に料理して楽しませてくれるか? 期待度大だ。 

『69』以来の妻夫木&李監督の顔合わせも注目。長崎、佐賀、福岡という身近な舞台設定も親しみやすいだけに来年秋の公開が待ち遠しい。

同じく吉田修一著『パレード』を行定勲監督が映画化。「今」を感じさせる吉田文学の相次ぐ映像化で、若き日本映画人たちの底力も見せて欲しいな。