« 29 | メイン | パパの赤ちゃん日記(2) »

a007901

「パパの赤ちゃん日記(1)

ずいぶん長く更新していませんでしたm(_ _)m

           はじめに

この春から娘が高校生になります。16年前に娘をモデルにライフに『パパの赤ちゃん日記』と題した、父親目線の育児体験記を連載していました。

子どもの成長はほんとうに早く、小さい頃の思い出も忘れていくことばかりです。いま読み返すと出産、育児の奮戦を通じて親も子どもからいろんなことを教えられ共に成長していることを感じました。

1999年から約3年間掲載した古い記事ですが、いま子育て真っ最中のお父さん、お母さん方にエールを送れないかなと思って当ブログで連載してみることにしました。笑って読んでもらえたら幸いです。                    
                    2014年4月4日 らいふのまたろう

 第一話【ようこそ】

1.jpg
玲子のやつ、一緒に練習した「ひーひーふー」うまくできたのかな?修次は新生児室をガラス越しに覗きながら考えていた。

「浦福」。五、六センチの小さな足の裏にマジックで書かれた文字を確認する。「女の子。2850グラム。私のおかあさんは浦福玲子です」と記されたピンクのネームプレートの前に佇む。うむ、2850…。大きいのか小さいのか? となりの保育器に入っている渡辺さんの赤ちゃんは男の子、3150グラムだ。

まだ顔をよく見ていないんだ。こっち向いて、こっち、違う違う。渡辺君じゃなくて、うちの子、うちの子、そうだ、うちの子にはまだ名前がない。はやく妻と結論を出さねば。

「お〜い」と心の中で呟いてみると、となりの渡辺君がもぞもぞと動きだして、こちらを向いた。ワォ!! 渡辺君、お猿さんみたいだぞぉ。「お〜い」今度は突然、うちの赤ちゃんが鳴き始めた。

おい、どうしたんだ。だいじょうぶか? どこか具合が悪いのか? 看護師さん!? ガラスの向こうに見える看護師さんは、冷静な表情で何か別の作業をしている。うちの子が、顔を真っ赤にして泣いている。修次は心細くなり、ナース控え室へ走った。
ir1.jpg
受付の看護師さんが、きょとんとした顔で「どうかしました」と尋ねた。
「あの、うちの子が、ひどく泣いているんです」
「どちらの?」
「あの、うちの、うちの」
「あっ、浦福さんでしたね。ちょっと待ってください」
 しばらくすると担当の看護師さんが奥からでてきた。
「お子さんは、ただ泣かれているだけですけど」
「…ただって、ひどく、なんか苦しそうに…だいじょうぶなんでしょうか?
「はい。赤ちゃんはみんなあんな風にしかなきませんよ」
「…あ、…どうも」

ガラスの前に戻ると、うちの子も渡辺君も顔をクシャクシャにして泣いていた。わちゃ〜、うちの子もやっぱりお猿さんみたいだ!!

ようこそ地球へ。ようこそ平和なニッポンのサセボヘ。ボクがキミの父親の浦福修次です。ヨロシク!  (つづく)