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「エクラン東宝閉館」

 
明治19年(1886)、佐世保村に海軍鎮守府が置かれ、閑散とした村の空気が一変。日清戦争の勝利に沸き、小さな村は軍港としてモダンな街並みに生まれ変わって行く。eku3.JPG中心部には海軍相手の料亭や遊郭が軒を連ね、特需景気で人口が一気にふくれあがり村から市になった。

そんな中、歌舞伎などを上演する「弥生座」という芝居小屋がオープンした。ある日、「活動写真」が登場。スクリーンに映し出された日露戦争の凱旋パレードに、観衆はただただ感嘆。またたくまに街中の評判になった。この芝居小屋が現在の栄町にある「エクラン東宝」の前身だという。約1世紀にわたり佐世保市民に娯楽を提供してきた老舗映画館「エクラン東宝」が9月30日fに突然閉館した。客足が遠のいた経営不振が原因だ。eku4.JPG

同映画館が2スクリーンの東宝直営館として新築開館したのは平成2年(1990)。その前は「日活」「東館」を併設し、名画座や成人映画上映館の時代もあった。個人的な想い出をひもとくと高校時代初めて日活ロマンポルノを鑑賞した映画館でもある。根岸吉太經篤弔痢惘麝襦戮鬚呂犬瓠藤田敏八、若松孝二監督作品に出会ったのもここだった。エクランになってからは子どもと一緒にドラえもんやジブリ、ゴジラ、ガメラも楽しんだ。

ハイビジョン画像で自宅でもクオリティの高い映画鑑賞が可能になった現代。3つの時代を銀幕に映してきた老舗映画館の幕切れは、まるでフイルムが切れたような、実にあっけないTHE ENDだった。