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2010年08月25日

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「佐世保弁物語2」

【そいから】
佐一郎は夏目漱石が好きだ。久しぶりに『坊ちゃん』でも読み返そうと金明堂書店の文庫コーナーに佇んでいた。友情を選ぶか? 恋を選ぶか? 三角関係の微妙な心理を描いた『それから』の背表紙がなぜか気になった。soikara.jpgかといって佐一郎は別に三角関係に悩んでいるわけではない。もし無意識に天びんにかけているものがあるとしたら、ワインバー開店の夢と、会うたびにときめきが増していく佐保美の存在かもしれない。新潮文庫『そいから』……おっと失礼、『それから』を手にレジへ向かった。

【ちいった】
佐保美は同僚の恵と飲みに行くため、親和銀行京町支店のATMで一万円を引き出した。預金残高を確認しながら、母の「ちいった貯金しとかんばよ」という口ぐせを思い出した。※「少しは」の意味。

【つかいにっか】
佐保美と恵はイカの造りを肴にハイボールを飲みながら談笑していた。「この携帯、液晶ばぶつけたけん、つかいにっかっちゃんね」「佐保美さんみたいに、めちゃ方言を使う人には佐世保弁変換ができる携帯があれば便利ですよね」「そいよかねぇ。『ど』ば押したら『どけ行く』『どがんすっ』『どがんしよっと』って候補がいっぱい出てくる携帯(笑)。どっちみちもう古うなったけんがドコモ京町店に行って機種変更しゅーっと」。※「使いにくい」の意味。

【つっぽがす】tuupo.jpg
佐一郎は比良町で見つけた古民家の内装工事を友人の順ちゃんに頼むことにし、打ち合わせをしていた。「この壁ば、つっぽがしたらカウンターの長うとれんかね?」。順「柱はどこかね……あぁ〜、こけあっ。たぶん大丈夫やろ」※「穴をほがす」の意味。

【なきよっ】
「佐保美あんたなんばなきよっと」「なんもなきよらん」。サンドウィッチをほうばりながら、ビールを飲んでいた佐保美の目は確かに涙で潤んでいた。「どがんしたと、なんかあったとね」と心配する母、ひろ子に「どがんもしとらんって、もうなんもゆわんでさ」と語気を荒げ、キッチンを飛び出し自室に閉じこもってしまった。※「泣いている」の意味。

【なごうなっ】
「今日、仕事なごうなっと? 内装工事の終わったけん見にこん?」。佐保美は佐一郎からのメールに「大丈夫、くっけん!」と返信。仕事を終え、比良町の古民家に向かった。二人っきりで開店準備の前祝いに祝杯をあげようと、玉屋のサンドウィッチと缶ビールを買って、胸をはずませドアを開けた。するとカウンター越しに佐一郎と親しげに話をしている女性の後ろ姿が目に飛び込んだ……。※「長くなる」の意味。年配の人は「横になる」ことを「いっとき、なごうなっとかんね」などとも使う。

【なして】
「あっ!!」と振り返ったのは同僚の恵だった。「恵なしてこけおっと?」訳(どうしてここにいるの?)。「いや、ちょっと。あっ、もう私かえらんば」。恵はばつが悪そうに立ち上がる。「おってよかさ。そいより、二人って知り合いやったと? どがん関係? うちぜんぜん知らんやったとばってん」「あっ、うん。そうそう妹の同級生で……」「そうそう」と慌てて取りつくろう二人。その時、恵の手からあるものがひらりと床に落ちた。それは永田宝石店のジュエリーカタログだった。「ちょっと、二人ともなんばこそこそしよっと。うちもう知らん。かいっけん」。佐保美は怒って内装の終わった佐一郎の店を飛び出した。※「どうして」の意味。

【なんか】 
サンドウィッチと缶ビールを持ったまま帰宅する途中、佐一郎から電話がなったが、佐保美は無視して出なかった。しばらくするとメールのバイブが3回震えたが開きたくなかった。帰宅後、母の手料理を断り、ぬるくなった缶ビールのプルリングを引き、サンドウィッチをやけ食いしていると、こらえていた涙がポロポロとあふれ出した。「どがんしたと、なんかあったとね」と心配する母の声がとてもつらくて、自室に閉じこもり声を出して泣いた。※「何か」の意味のほか「長い」も「なんか」で表現できる。例「涙が枯れてしまっても眠れない佐保美。それは、とてもなんか(長い)夜だった」。

【ぬけん】
佐一郎は佐保美にプロポーズを決意。指輪をプレゼントしようと、こっそり恵に頼んでどんな品がいいか相談していたところ、恵と佐保美がはち合わせするというドジな結果を招いてしまった。その後、怒った佐保美との関係はいまひとつ。永田宝石店で買った指輪をまだ渡せずにいた。そんな指輪を遊び半分で自分の指に装着してみたところ抜けなくなってしまった。「あれ、ぬけん」と慌てふためくドジ続きの佐一郎だった。※「抜けない」の意味。

【はがいか】
真相を知らないままの佐保美は佐一郎と恵にだまされたような気がして「あ〜はがいか」を連発。そんなモヤモヤを一新しようと「まるた美容室」で髪を短く切ったら、気分も少し軽くなった。※「歯がゆい」の意味。sahomi.jpg

【ばかんごたっ】
髪を短くカットした翌日、同僚の恵が「誤解を晴らしたい」と先日、佐一郎の店ではち合わせした理由をうち明けてくれた。「えぇ〜なんね。そがんことやったと……あの日、もう少し残業してから店に行けばはち合わせせんやったとたい」
と佐一郎のおちゃめなプロポーズ大作戦の失敗に同情しながら「なんか、うちだけはらかいて、ばかんごたったね」。※「馬鹿みたい」の意味。

【はずれん】
はずれにくいイヤホンやコンタクトはありがたいが、指輪は困る。「あ〜、あせったばい」。佐一郎は佐保美のために購入したピンキー&ダイアンの指輪をケースの中にそっとしまった。※「はずれない」の意味。
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【ふとか】
佐保美と恵は仲なおりのしるしに「蜂の家」でシュークリームを食べた。「味も昔のまんまでボリュームも変わらんよね」「そうね、ふとかよね」「このひょうたん型のスカッチソースもなつかしかね〜」※「大きい」の意味。

続きはまた、そのうちに。 

ライフさせぼ刊『佐世保弁辞典〜ライフさせぼ編』より。

2010年08月05日

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「8月8日に蜂の家カレーが88円!?」

緊急情報! 緊急情報!

2010年8月8日(日)佐世保市本島町で、すごい記念イベントが開かれる。
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1951年(昭和26年)に開業した洋食レストランの老舗「蜂の家」が60周年を記念して、佐世保市民に感謝の気持ちを贈ろうと、名物メニュー「蜂の家特製カレー」を、なんと88円で提供するそうだ。


蜂(ハチ)の屋(ヤ)にちなんだ「88」な一日。

当然この日のメニューは蜂の家カレーOnly。午前11時から午後8時まで約2000食分を準備するらしい(1人1食限定)。通常780円が88円とは、大胆×ビックリ×嬉しい=華麗(カレー)なる食の感謝祭である。

まだ食生活が豊でなかった戦後、調理人兄弟が創業。スパイス料理を勉強していたお兄さんシェフが、日本人の口に合うように研究を積み重ね生み出した「甘みと辛みの独特のハーモニー」は、家庭では味わえない欧風カレーとして、たちまち人気を広げた。ちなみにラーメン一杯50円の時代。このカレーは120円だったという。戦後いち早く外食の贅沢気分と「食」の喜びを与えた佐世保を代表するカレーなのである。hachinoya1.jpg

甘いものもまだまだ乏しかった時代、弟さんシェフが生み出した名物のシュークリームも加わり、カレーと同様に60年経った今も、その味のベースは大切に守り続けられている。

外観写真は、今年の「ライフdeライブ」の打ち上げで夜が明けちゃって、「みぞぐち食堂」でシメた後の記念写真。FM長崎の風間みなみさんをはじめスタッフの方々と一緒に佐世保らしいロケーション「シュークリーム」前でハイポーズ! ちなみにカメラマンはミュージシャンの松本浩太さん♪

佐世保の外食&洋食文化を担ってきた「蜂の家」さん。60周年本当におめでとうございます。