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「ケン&ツマ」


 前回、松千とのエピソードの中で刺身のケンとツマのことにふれた。

 ケンは大根や人参を細長く切ったもので、ツマは大葉やシソの葉のこと。冷蔵庫が普及していなかった時代に殺菌効果の高さもかわれた野菜たち。単なる見た目の美しさだけでなく、栄養バランスや生もの脂ぽっさを消すなどいろんな効果を持つ優れものだったのだ。

 豊かな味わいを高める知恵が詰まった大事な添え物だったが、今は飾りものとして定着。食後に大量のケンとツマが残ってしまうありさまだ。
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 ところが、スーパーで買った生ものに大葉とカイワレ大根の写真をプリントした粋なトレーが付いてきた。なんという優れものだ。これだったら、生産者が愛情を込めて育てた野菜くんたちをバンバン捨てなくて済むぞ。

 しかもこの手のトレーが普及していけば宴席を後にするときも、残ったケンの山を見て悲しい思いをしなくてよくなる。実に素晴らしい!(大根は白地のトレーでうまく表現できるだろうか?)

 弁当やお寿司の仕切りなどで使われるギザギザした緑のバランと同じようにプラスチックに進化したツマ&ケンの姿に、しばしうっとりしながら写真を撮った。

 でも待てよ……生産者は今のままの方がよくないか? 無駄になっても飾り物としての需要がある方が売り上げにつながるじゃないか。

 お〜っ!? 大量消費社会というのは、なんとも複雑だ……。 (如月)