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「佐世保のクリスマス」

 佐世保では年末になると島瀬公園をメイン会場に「きらきらフェスティバル」、ハウステンボスでは「光の街」というイルミネーションイベントが開催される。

 それらと連動して、数年前から佐世保重工業株式会社(SSK)では、クレーンい電飾をほどこしクリスマスムードを演出している。
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 SSKは、佐世保を代表する造船産業を築いてきた会社だ。明治、大正、昭和の海軍時代に海軍工廠(こうしょう)だった施設を使って敗戦後に会社を設立。船艦武蔵の修理などを目的に建造された全長343mの第4ドッグなど、敷地内にはその歴史を物語る建物など近代遺産が今も点々と残っている。

 佐世保らしい景観でもあるドッグとクレーン群の中、毎夜、灯りを発しているのは大正2年に英国人技師によって建造されたイギリス製250トンクレーン。高さは42m、ブーム部分は82m。125トンの吊り上げ機が2機装備されているので、通称250トンクレーンと呼ばれている。

 同社で最も古いクレーンで94年間経った今も現役。船のクランク軸やガスタンクの積み込みなどで現在も大活躍中だ。国内でも珍しくなったこのクレーンは、SSKのシンボルと言える。

 風当たりの強い地上42mの場所にタール塗装した枠を備え、レタリングを活用し、金網で「SSK」の文字も製作。60ワットの赤色灯251個、白色灯251個、計538灯を一つ一つ丁寧に差し込み部分を固定し、球が風に揺れて割れないように工夫されている。


 山の手から佐世保港を見下ろす夜景に美しく映えるクレーン型の電飾。海軍から造船と3つの時代を静かに見守り続けてきた長老クレーンの輝きは、最も佐世保らしいクリスマスイルミネーションかもしれない。  (霜月)