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2007年07月26日

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「カメの手鉄砲とクロ茶漬け」

 クロの女神こと、看板娘のサトちゃんがいる酒屋で再びクロのお造りを囲んで宴を開いた。

 今回のメンバーは、脱サラしてフリーランス人間としてご商売を再始動されるH・伊達丸と我らが兄貴、ドラマーのターボちゃんという、またまた男三人衆(前回はじゃんキエロとイトさんだった)。

 サトちゃんが、まず祝卓に運んでくれたこの日の突き出しは、ミナ貝とカメの手の塩茹でという酒の席に最高の海の幸。
 
「お〜う。旨そ〜う」と生麦酒で乾杯。爪楊枝で貝の身を、ちよこまかちょこまかほじり、珍味、カメの手の固い部分をねじ曲げ身を取り出す。指先に素晴らしき磯の香りを感じながら、蟹パーティにも似た単純食作業を繰り返し、黙々と美味を堪能。

 すると、伊達丸が身を剥いていたカメの手から、突然シュシュと液体が水鉄砲のように弧を描き、ターボちゃんの目もとにヒット。拙者のカメの手からも汁鉄砲が吹き出し、己の顔面に命中した。
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「わちゃぁ〜!!」「お〜っ、ほほほ〜。おい1伊達丸なんばすっとやぁ〜目に入ったやっか〜」と、大の男が水遊びしている餓鬼のようなはしゃぎ声を発して騒いでおると、「あ〜!! 下に向けて剥かないとダメですよ〜」とカウンターの中からサトちゃんが飛び出してきて手ほどき。拙者のカメの手を慣れた手つきで、ひょいひょいと一皿全部剥き身にしてくれた。

「お〜っ凄い。分かりましたあ」とオヤジ三人サトちやんの早業にうっとり。「クロはもうすぐですからねぇ」という言葉を受け、保母さんにうながされた園児のようにコックリと頷き、積もる話しを交わしながら大人しく酒と肴を楽しんだ。

 今宵も大将が腕を振るったクロが完成。立派なお造りが卓に運ばれた。
 
拙者は瓶麦酒、伊達丸とターボちゃんは六十余州の燗付けで楽しんだ。


 クロの美味なる切り身が残り少なくなり、拙者が箸を出すと、ターボちゃんが慌てて「ダメダメダメ」とイエローカードな声を発した。

「身ば残しといて、茶漬けば作ってもらうとさ。こいがもうめちゃ旨かっちゃけん」と満面に笑みを浮かべながら語った。先人の知恵に逆らうべからず、拙者は素直に箸を引く。

 そうして宴の締めを、クロ鯛の茶漬けと味噌汁が華々しく飾ることになった。

 きざみ海苔の下に隠れたプリンプリンの鯛の身。醤油味で引き締めた茶漬けの味わいは、ターボちやんの言葉と通りに絶品でござった。      (文月)

2007年07月24日

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「黒島豆腐」

DSC_0058.JPG うししししし。まだ、一度も食したことがなかった黒島豆腐をついにいただく機会が訪れた。ライターのヤヨ様が島に連絡して、夏場は実施されていない豆腐作り体験を「どうしてもやってみた〜い!」と話しをつけ、島のご婦人たちが引き受けてくれることになった。

 佐世保市黒島町は、マリナーズで大活躍中の城島健司選手の故郷である相浦町「城島記念館」に近い港からフェリーで渡る離島だ。 西海国立公園内の南九十九島に点在する208の島の中で最も大きな島で、明治35年に建造された黒島天主堂が全国的に有名だ。
 
 フランス人のマルマン神父の集大成ともいわれるレンガ造りの3層構造によるロマネスク様式は、その後の教会建築に大きな影響をあたえ、文化的価値が非常に高く、国の重要文化財に指定されている。この教会を見るために全国各地から観光に訪れる人が増えている。

 と言っても商魂たくましい観光地の賑わいはない。手つかずの自然とキリシタン文化の歴史を静かに刻むのどかな風景が一番の財産。相浦港から約12キロの海に浮かぶ西海のロマンを育む美しい島。その中央に天主堂はシンボリックに佇んでいる。

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 豆腐作りをレクチャーしてくださったご婦人によると、黒島豆腐は常食用ではなく、結婚式やお祝い事、お葬式など冠婚葬祭の際に欠かせない、ひとつのおもてなし料理だそうだ。

 にがりの代わりに海水を混ぜ固めるのが大きな特徴。豆乳やおから、寄席どうふをいただきながら、豆腐が固まるのを待つ。やがて低反発枕を思わせるできたての豆腐が湯気を上げ姿を表した。慎重に包丁を入れ12丁が完成した。噂には聞いていたが黒島豆腐は重くて固い。DSC_0012.JPG>

 ご婦人たちはこの豆腐をかまぼこサイズに切って皿に盛ってくれた。自家製のごま醤油をかけていただくのが正統らしい。まずは素で食べてみる。!? なるほど、微かに潮の香りがする。が、口の中には塩辛さではなく、どちらかといえば甘みに近い独特の風味がじんわり広がった。

 ほどよい食感。きざみネギとごま醤油でパクパクパクパク……まるで豆腐をお刺身で食べているような美味しさである。DSCF1443.JPG
 
 我々は、できたての黒島豆腐とおからを大事にたずさえ、フェリー「くろしま」に乗り込み帰路についた。自宅に持ち帰り、かまぼこサイズに薄く切ってみる。おう、ますます固くなってお皿の上にピンと立ちなさる。なんと凛々しいお姿。

 翌日まで拙者は晩酌のお供に豆腐三昧。次はポン酢にしてみましょうか?   滅多に口にできない逸品、黒島豆腐に舌鼓。う〜ん麦酒が一段と旨いぜ。            (文月)