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「DJマークのこと」

 昨年に引き続きライフdeライブのMCはFM長崎のパーソナリティ、DJマークにお願いした。お目当てのグループ演奏だけでなく、全出演者のステージを一つのショーとして客席に届けるのがこのイベントの目的でもある。ただBGMを流しているだけでは、観客の入れ替わりは否めない。そのためにはバンドの転換時をどうつないでいくかが大きなポイント。司会・進行役の力がものをいう。

 特に昨年からバンドサウンドをメインにプログラムしている。今回は全てロックバンド。表現スタイルもサウンドも大きく異なる。バラエティな顔ぶれながら、聴く側の好みもハッキリ出てしまうリスクも感じる。舞台監督のハウリン伊達丸と一緒に練った、これまでで一番の冒険企画だ。
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 喋りが上手なプロの司会者は山ほどいる。DJマークも喋りで食べているプロの一人だ。理知的で柔らかいボイス、場の空気を読む力、語彙、アドリブ力、冷静さ、気配り……歯切れがよくて親しみやすいトークセンスの持ち主だ。
 
 彼の生まれ故郷は焼物の里、波佐見町。実家は陶器の卸商社だ。幼い頃から陶器市などで商売のお手伝いをしていた。見知らぬおじちゃんおばちゃんたちとテンポよく言葉をやり取りする対面販売が喋りのベースになっているのかもしれない、と本人が語っていたことがある。

 佐世保南高校時代はバンドを組むなど音楽に傾倒。現在もギタリストとして活動しているミュージシャンという顔も持つ。以前彼を取材した時「音楽は絶対に自分を裏切らない大切なものですね」と瞳を輝かせた。

 音楽に関われる仕事に就きたい……長崎大学卒業後、FM長崎に入社した。音楽が一日中流れる職場。商いを通じて育んだ人と心を交わす言葉は、大好きな音楽と一緒に電波に乗った。

 中でも同局のパーソナリティ平川歩美さんと夕方4時から生放送でオンエアしている『Gラジ』は、二人の個性と感性が特に輝く人気番組だ。ボケとツッコミを思わせる軽快なコンビネーションは、二人が合わせ持つリズム感から生まれる喋りのデュオにも感じる。
 
 FAXやメールによるリスナーとのコミュニケーション、多彩なゲストアーティストへのインタビュー……楽しい会話の中に二人の音楽へ対する情熱と豊かな知識が、さりげなく盛り込まれていて、全国にも通用する音楽情報番組としてのテイストを感じさせる。

 二人のトークデュオはライブで流れる。月〜木までの夕方、長崎駅の公開スタジオ「かもめスタジオ」から放送される。移りゆく景色と人の流れを目の前に路上ライブを行うミュージシャンに似た視点で音楽の楽しさを発信している。

 佐世保のミュージシャンたちもマークと平川歩美さんにシンパシーを感じている人が実に多い。それはジャンルに関係なく音楽という共通語を分かち合える親近感からきているようだ。ライフdeライブがFM長崎とコラボレーションするようになり、佐世保の音楽の息吹は電波を通じてさらに広がりを増していることも特に今年はひしひしと感じた。

 アルカスSASEBOのステージでマイクを持つDJマーク。ラジオで『Gラジ』を聴くときと同じ安心感と親しみが会場を包み込む。音楽好きのマークが次はどのバンドを、どのような言葉で紹介して、ステージに登場させるのか……? ラジオと同じく音楽とリスナーを結ぶ架け渡し役として、今年も力を発揮してくれた。
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 イベント司会者ではなく、彼自身が出演者として、多くの観客に受け入れらていることがライフdeライブの新たな魅力なっているのである。

 後日、ハウリン伊達丸に「昨年以上にマークに助けられたね。今後はマークが紹介する佐世保のミュージックショーというイメージをもっと前に出して行きたかね」と問いかけた。「そうね。マークのMCは若者でも年輩者にも伝わる安心感のあるよね」と感想が返ってきた。「次回も欠かせんね!」「そうね。ライフdeライブのエド・サリバンみたいな存在になってきたもんね」

 そうだ。伊達丸が言う通り、さまざまなアーティストたちを紹介していたアメリカの人気テレビ番組「エド・サリバンショー」みたいな構図ができつつあるのだ。いつか平川歩美さんとDJマークが揃ってステージに並ぶ佐世保のサリバンショーを創ってみたい。マーク来年もよろしく!  (五月)