「自問自答」
「お主、わが藩の名産、ハンバーガーは好きか?」
「ハンバーガーでござるか? はて、最後に食したのはいつであったか?」
「なんでも江戸の方までその美味が噂を広げておるそうだが?お主はいかほど食しておるか?三日に一度ほどか?」
「三日に1回!! 冗談を言われるな。納豆もそんなに食さぬのに、どうしてハンバーガーをそのように! 拙者は日本人でござるぞ」
「そう言われてもわが藩の名物でござるぞ。地の者が食わぬ特産品でよろしいのか?」
「そう言うお主こそ、いかほど食されておるのじゃ?」
「ふむ……拙者か、この夏休み食したばかりでござる。娘がハッピーセットの玩具を欲しいというもの
で親子三人で食し、玩具三種ゲットしたでござる!」
「わはははははは。お主、気は確かか? それはマックでござらぬか。お主が話しておったのは佐世保バーガーのことではなかったのか?」
「何を頭の固いことを申しておる。佐世保で売っておるのだから全部佐世保バーガーでカウントしていいではござらぬか!」
「それなら拙者も先月、モスで打ち合わせしたおりに食した」
「左様でござったか。それでは月一回平均ってことでよろしいな」
「待ってくだされ。学生やヤング層はそうかもしれぬが、拙者は月に一度も食しておらぬ、せいぜい年三回、いやニ回ってところではなかろうか」
「誠か、安心した。ここだけの話しだが、実は拙者も娘や家内がせがまぬ限り好んで食しておる訳ではないのでござる。確かに美味なのだろうが、この年になるとどうも肉は苦手になる」
「左様でござったか。ところで佐世保バーガーは最近食されたことはござらぬのか?」
「恥ずかしながら、三年ほど前に食したきりだ」
「安心した。拙者はもう四、五年ほど食しておらぬ」
「だがまずいのう。他の者に知れたらお役御免じゃぞ。くれぐれも殿の耳には入らんようにご用心、ご用心」!」 (文月)